介護士は高齢者が最後に出会う「他人」だ|介護士の仕事の本質を考える
こんにちは、現役介護士のさかもと ままる@mamaru0911です。
僕は現在、派遣夜勤専従介護士と日勤パートのWワークをしています。
日々介護施設の利用者さんと関わると、介護士の仕事の重要さに気がつく事が多々あります。
今日は介護士の「業務」意外の役割についてお話しします。
施設での利用者さんの日常
介護施設で暮らす利用者さんの日常は、基本的には日々同じです。
これは施設での利用者さんに限らず、高齢者になればなるほど当たり前の事かも知れませんが、毎日が似た様なものになります。
起床する、朝食を摂る、テレビを見て過ごす、昼食を摂る、お風呂に入る、夕食を摂る、就寝する、のような基本的なサイクルを毎日繰り返します。
僕らのような現役世代は、この基本サイクルに加えて、仕事をしたり趣味や恋愛をしたり、トラブルがあったり…日々変化があります。
しかし高齢者の生活には、単純に言うと「刺激」がありません。
もちろん高齢者自ら「刺激」を毎日求める人は稀で、出来れば「穏やかな」毎日を過ごしたい、というのが高齢者の本音であるとも言えます。
介護士の具体的な仕事は、この高齢者の基本的なサイクルを円滑に保つ為の「お助けマン」という事になります。
「穏やか」=「孤独」の現実
介護施設の毎日は、延々と続く生活の基本サイクルです。
もちろん、クリスマスや正月、節句やお盆などのイベントに合わせて、料理や催し物を開催しますが、それは生活の一部にしか成り得ません。
介護施設の中は、常に快適な室温が保たれているおかげで、外出が出来ない利用者さんにとっては、季節の移り変わりでさえ気がつかない場合も多いのです。
自立して自宅で生活していれば、日々細かな「困りごと」もあると思います。
しかし施設での生活では、その「困りごと」を都度介護士なりケアマネージャーなりが解決して行くので、利用者さんがそれほど困る事はありません。
良く言えば、介護施設での生活は全くもって「穏やか」な日常です。
しかしこの「穏やか」は、ともすれば「孤独」を生みかねません。
毎日が同じ、施設内によく話しをする友人でもいなければ、一日誰とも口をきかない、なんてこともあり得ます。
「変化が無い」という日常を、淡々と繰り返す日々にいつしか高齢者は「孤独」を感じるのではないでしょうか?
高齢者に友達が出来ない理由
家族が頻繁に訪ねて来る利用者さんもいます。
しかしそのような方はむしろ少数派です。
大半の利用者さんは、毎日一人の時間を多く過ごしています。
僕は実際に介護施設で働いて驚いたのは、意外なほどに利用者さんは他の利用者さんとコミュニケーションを取らない、という事です。
「介護施設」「老人ホーム」と言えば、もっと高齢者どうしが仲良い物だというイメージが勝手にありました。
これは施設にもよると思います。
施設の介護度にもよるでしょう。
しかし実際に介護施設で働いてみて、気がついた事は人間、高齢者になればなるほど「他人」との新規の出会いが苦手になるという現実です。
よくよく考えてみると、44歳の僕でさえ最近は中々「友達」と呼べる人が出来なくなりました。
学生に時には自然に出来ていた「友達」。
大人に成ればなるほど、その関係値に行き着く人は少なくなるのは必然なのかも知れません。
そう言った意味でも、介護施設に入居、その後そこで日々語り合える友人と出会える人の方が圧倒的に少ないのだと思います。
では、介護施設で暮らす高齢者で「家族」とも「友人」とも接しない方々は、いったい誰とお話をすれば良いのでしょうか?
介護士は最後に出会う「他人」
介護施設で高齢者が、最も多く接する人間、それが介護士です。
日々必要な物の買い物を頼んだり、お風呂の時間を聞いたり、明日の朝食のメニューを訪ねたり…
介護施設の利用者さんは、その生活の全てを「介護士」に相談します。
利用者さんにとって「介護士」は、自分の生活には無くてはならない重要な存在です。
高齢者である彼らに取って、ひょっとすると介護士は、人生で最後に出会う「他人」になるかも知れません。
僕はそんな彼らに「この人で良かった」と思われる様な接し方を心がけています。
自分が高齢者になって施設に入った時、対して用事もないのに誰かとふと話したくなる時がくるような気がするんです。
そんな時、話しかけた介護士が自分の業務に一杯一杯で、要件だけ聞いて立ち去っていったら、どれだけ寂しい気持ちになるでしょう。
業務をする手を止めて、利用者さんに笑顔で接する。
要件だけでなく、他にも余計な雑談を笑って話す。
こんな些細な事が、利用者さんの「穏やかな」日常を、より幸せなものにするものだと僕は思っています。
介護士の本当の仕事内容
「介護士の仕事」には、高齢者の排泄まで面倒を見る「辛くて厳しいもの」というイメージがあると思います。
しかしそのイメージは、あくまで介護士の「業務」の一部分にしか過ぎません。
介護士の仕事の本質は、高齢者の生活を、人生を援護する「お助けマン」です。
悲しい事ですが、施設で生活する利用者さんをはじめ、高齢者の方々はおそらく僕よりは早くこの世を去って行きます。
そんな方々の記憶の中に「最後に出会った他人」として刻まれるのが、介護士という仕事の本質です。
あなたは今まで、どれくらいの人の記憶に残ってきましたか?
誰かの記憶に残る様な仕事をしていますか?
介護士の仕事は、多くの高齢者の「記憶」に残るとても重要でやり甲斐のある仕事です。
介護の仕事のもう一つのイメージは「薄給」です。
常勤介護士になれば、ボーナスこそ出る物の手取り月収が20万円を切るなんてこともしばしばあります。
しかし僕のように、派遣で介護士になればその収入も大きな物になります。
僕の働くベネッセMCMでは、一夜勤単価35,000円以上、時給1,800円以上の日勤の仕事が山のようにあります。
僕は派遣夜勤専従の介護士の収入だけで、手取り30万円を超えています。
現在の仕事に悩んでいたり、新しい未経験の業界で転職を考えている人は、世間の介護士のイメージに捕われず、介護福祉の世界で是非働いて欲しいと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
人間として生きている上で、一番重要なものはなんでしょうか?
お金持ちになる?有名になる?
僕自身が一番重要視しているのは「誰かの記憶に残る事」です。
自分自身の行動や考え方が、誰か他の人に記憶に残れば、それこそが自分が生きている証になると思っています。
介護士の仕事は、暗い部分に注目が集まりがちです。
しかし違う部分に目を向けると、とてもやり甲斐や意義がある素晴らしい仕事だと僕は思います。
介護福祉・医療の業界に少しでも興味がある方がいたら、是非この業界に飛び込んでもらいたいと思います。
自分が想像した以上に「人の役に立つ」経験が絶対に出来ると思いますよ。